この時サブステージではBen Foldsが演っていた。Ben Foldsは前年に厚生年金会館で見たことがあるが、その時は満員の観客を前に熱いステージを見せてくれた。しかしこの時サブステージにいた観客の数は、先ほどのRichard Julianの時よりは増えてはいたが、恐らく100人にも満たなかったと思う。これではやる気も失せるはずだが、それでもBenは前回と変わらぬ熱いステージを見せてくれた。BenのピアノにベースとドラムというBen Folds Fiveの時と同じ編成で、Benは冒頭から椅子から立ち上がりながら激しく鍵盤を叩いていた。また途中のソロタイムでは、バンドも必要ないだろうと思わせるほどに美しい調べを奏でてくれた。終盤観客を2組に分けてコーラスさせるところは、さすがに人数が少なく物足りなさがあったが、我々もBenに悲しい思いをできるだけさせないように、出来る限りの声を出して歌った。プロフェッショナルを感じさせる素晴らしいステージだった。



1. Theme from "Dr. Pyser"
2. Bastard
3. Gone
4. Jesusland
5. Annie Waits
6. Still Fighting It
7. Bitches Ain't Shit
8. Brick (Solo)
9. Song For The Dumped=Kane Kaese(minor, Japanese) (Solo)
10. Army
11. The Ascent of Stan
12. Landed
13. Zak and Sara
14. Rockin' The Suburbs
15. Not The Same
16. One Angry Dwarf and 200 Solemn Faces

そして最後はSantana。この日の大トリを見るために再度メインステージまで戻る。さすがに大トリともなればそれなりの人数の観客が集まっていたが、それでもせいぜい数千人程度だと思う。何万人という人が集まる他のフェスに比べると圧倒的に少ないだろう。やがてCarlos Santanaを始めメンバーが登場。例の聞けばそれと分かるピロピロとしたCarlosのギターが聞こえてきて、パーカッションやマラカスといったバックの演奏陣とともに熱いラテンロックを展開し始めた。空に赤く映える夏の夕暮れに、このラテンロックが響くと、何とも言えない幻想的な情景を呈していた。後ろにはここへ来て初めてバックスクリーンが使われていたが、ふとそのスクリーンを見たらドラムにクローズアップされていた。そして凄まじいツーバスの連打をまじえたドラムソロを聞かせてくれた。その巨体のドラマーをCarlosが"カリウター!"と紹介した。その後今度はCarlosが"Mr.Jeff Beck"と紹介し、先ほどステージを終えたBeck氏が再度登場しSantanaと""を共演してくれた。2人とも60年代から活躍している大ベテランだが、それぞれ全く異なるスタイルを持つ個性の強いギタリストである。この2人の共演はかねてより実現するだろうかと噂されていたが、その期待に応えてくれた2人に感謝である。この日一番嬉しいサプライズであった。



1.Jingo
2.Historia
3.Our Load's Prayer/Mr. Mystery/Batuka/No One to Depend On 4.Concerto/Maria Maria
5.Foo Foo
6.I Am Somebody
7.Corazon Espinado
8.Incident at Neshabur
9.BMW/Gypsy Queen
10.Oye Como Va
11.Apache/Smooth/Dame Tu Amor
12.Soul Sacrifice
13.(Angel Chant) Into the Night

1時間ほど熱演後Santanaがステージを後にすると、この日のプログラムは全て終了した。いつの間にかあたりは霧が立ち込めており、何発か上がった花火も音だけがこだましておりその様子は全く見えなかった。観客は我先にと帰路につくためマイカーや送迎バスへと流れて行った。私は余韻を楽しみたかったので出店をはしごしていたが、1時間もしないうちにあたりに人影はほとんどなくなっていた。キャンプサイトも覗いてみたが、ほんのわずかテントが並んでいるだけで寂しい有様だった。

後で聞いた話だが、この日パンク系のバンドが出ていたステージには、観客はほんの数人しかいなかったそうだ。PennywiseやAFIなど本国でも人気があり、ここ日本でも別の形であれば普通に観客が集まるであろうバンドが、数人のみの観客を前に演奏をしなければならないとは、屈辱以外何物でもない。これはあまりにも酷い仕打ちと言っていい。今回の件で彼らがもう二度と日本に来ないと言ったとしても、彼らを責めることはできないだろう。このフェスはベテランどころを多く集めた大人のロックフェスとして機能し、比較的年配の観客を集めた。しかし幅広い観客も集めたいと手を広げ過ぎたウドーの思惑が、結果的に先のようなアーティストに迷惑をかけることとなったのだった。大人のロックフェスという発想自体は悪くないしニーズはあるのだから、次回はもっと対象を絞って開催してみてほしいところだ。もっとも次回があればの話だが。