2011. 5. 30 @ 神奈川県民ホール

先週ツアー2日目となる神奈川県民ホールに行ってきた。一昨年再結成したばかりのツアーではチケットが全く取れず、DVDで我慢をしたものだった。しかし今回は前回に比べ比較的取りやすく、ようやく彼らのライブに足を運ぶことができた。ちなみに今回は娘を親に預けてうちの嫁さんも同伴。同世代の嫁にとってもユニコーンは青春である。

途中でビールとつまみを買いながら会場に着くと、やはり同世代の人が並んでいるが、女性の割合が高い。男性は2~3割くらいか。私達の席はファーストクラスだったのだが、なんと1階3列目の右側、ちょうどテッシーの前あたり。高かったが、その甲斐があった。ステージには海賊船をイメージした大掛かりなセットが設置されており、両側には大砲まで置かれていた。

SEが鳴り止み歓声が上がる。するとステージ奥にあるスクリーンに様々な映像が流れた後、5人の顔がアップで写し出されるとまた歓声。そして遂に彼らが登場、“SAMURAI 5”のPVで来ていたお揃いの海賊の衣装で決めている。各自スタンバイしてから勢いよく゛ライジングボール゛でスタートした。 私の前の席の女性はハンカチを口に当てていた。

2曲目もそのままの勢いでまたも最新作から“頼みたいぜ”が続いた。3曲目では昔のレパートリー“ハヴァナイスデー”、民生がハンドマイクで“故郷は横浜~♪”と歌い歓声を浴びる。4曲目は阿部がDeep purpleのJohn Lordのようなソロを弾き、テッシーが歌い出し゛手島いさむ物語゛が始まる。すると何とテッシーの身体が宙に舞い上がった。背中にワイヤーを張っているのが見える。民生も「総選挙の結果テッシーが選ばれた」と言っていたが、今回のアルバムもツアーもテッシーが前面に出ていた。 そのためこの日も何度も空を飛ぶことになるのだった。

MCは期待通りGDGD ( グダグダ)していた。民生「初日はグダグダでしたが、段々良くなってくると思います。皆さんはその歴史的瞬間が見られるでしょう。」、阿部(コメントはありますかの問いに)「いや、特には(笑)。」 、テッシーの「(ゆっくりしゃべるように)心の友EBIさんにアドバイス頂きました」に対してEBIが「ええ感じやったで~」などなど、終始ほのぼのしていた。

5/26に埼玉の三郷でやったツアー初日のセットリストは知っていたが、ここまではそれと同じだった。ということはこの次に来るのはあの曲。阿部のキーボードが懐かしい80年代なイントロを奏でると゛Maybe Blue゛が始まる。会場内悲鳴に似た叫び声が上がる。民生本人ももう演らないと公言していたほど、ライブでありえない曲だったため、その反響は大きかった。前の席の女性はまたハンカチを口に当てていた。

中盤は懐かしい曲が続く。゛シンデレラアカデミー゛も嬉しかったが、民生は帽子の中に貼ったカンペを見て歌っていた。゛いかんともしがたい男゛はバックスクリーンの真っ青な空が印象的。゛ニッポンへ行くの巻゛ではテッシーがおらずどこ行った?と探していると、例によってまた宙吊りで登場し、客席にボールを投げていた。゛パパは金持ち゛では民生が後ろのドラムセットに立ちサンバのリズムを強化する。終盤に曲通り各メンバーがソロを回したが、最後の民生のドラムソロは実はエアーだったようだ(笑)。そしてEBIが中央に立ちそのまま゛君達は天使゛に雪崩れこむ。個人的にはここが今日のハイライトの1つだった。

EBIが「私の相棒を紹介します」と呼び、川西さんがドラムセットから降りてきた。テッシーのたどたどしいキーボードのイントロで、゛ブルース゛がラップバージョンで始まる。2人はハンドマイクでステージ両サイドまで練り歩き、ポーズを決めながらラップを聞かせる。思った以上に様になっており、何よりももう50を超えたと思えない川西さんの若さに驚く。"さらばビッチ"でも2人ラップを披露したが、サビには各楽器に戻らなければいけないので忙しそうだった。民生・テッシー・阿部のトリプルギターはステージ前で並んで弾き、最後はポーズを決めていた。

阿部に赤いライトが当たり、一人でピアノを奏でながら歌い出し゛R&R Is No Dead゛が始まる。そのピアノの調べの美しさとボーカルの声量に改めて阿部の技量に気づく。終盤はメンバー皆で向き合いながら演奏に没頭。中でも民生が黙々と味のあるギターフレーズを弾いており、最後は手元にある小さな2つのマイクを操作しフィードバックのような音を作り上げ、そのまま゛オレンジジュース゛に雪崩れこむ。この空白の期間に一番成長したのはソロで追及し続けてきたこの人だなと実感。

個人的に最も好きな曲の1つである゛車も電話もないけれど゛は2つ目のハイライトであり、年甲斐もなく大声で歌い至福の時だった。゛デジタルスープ゛で大円団となり本編が終了した。ここでビックリしたのは、本来ならスタンディングのままアンコールを求めるのが、メンバーが引っ込んだ同時に観客が全員座ってしまったのだ。もっと年齢層が高いコンサートでもこんな光景は見たことがなかったので、これには面食らってしまった。

アンコールはテッシーが一人でまたしても宙吊りになりながら登場し、また皆立ち上がった。テッシーはアコギで゛オールウェイズ゛を弾き語った後、メンバー紹介しながら呼び込んだ。途中順番を間違えつつ、民生のことは「憧れてます」と言っていた。

最後に呼ばれた阿部はプーさんのマスクを付けて登場。マスクを脱ぎ捨てると゛SAMURAI 5゛がスタートした。間奏のセリフの「あいつは言った」のところで、阿部は各メンバーにモノマネを強要し、テッシーには桂三枝、民生には森進一、EBIは山口百恵、川西さんにはアントニオ猪木と、ムチャ振りを続けていた。ただ30分もグダグダやっていた前回に比べると、今回の阿部ショーはコンパクトだった。 そして最後は゛裸の太陽゛でキッチリ締め大盛り上がりで終了し、゛ぶたぶた゛のSEをバックに旗を振って行進しながらステージを後にした。

実際終わってみると、今回のセットリストには、"大迷惑"、"人生は上々だ"、"CSA"、"おかしな2人"、"ヒゲとボイン"、"すばらしい日々"など、お約束レパートリーがいくつも抜けている。それでも不思議と物足りなさを感じることがなかったのは、他の往年の楽曲をいくつも演ってくれたというのもあるが、それだけではない。再結成後の新しい楽曲もそれぞれが魅力を持ち、メンバー全員の技量とキャラクターを最大限に活かした見せ場がそれぞれにあり、ステージ全編を通して終始楽しませてくれたからに他ならない。一見飄々としているオッサン達の本気に感服した。

セットリスト
1.ライジングボール
2.頼みたいぜ
3.ハヴァナイスデー
4.手島いさむ物語
5.WAO!
6.Maybe Blue
7.シンデレラ・アカデミー
8.AGONY
9.いかんともしがたい男
10.ニッポンへ行くの巻
11.ウルトラヘブン スーパーマイルド
12.パパは金持ち
13.君達は天使
14.ブルース(ラップバージョン)
15.さらばビッチ
16.HELLO
17.R&R IS NO DEAD
18. オレンジジュース
19.車も電話もないけれど
20.デジタルスープ
アンコール
21.オールウェイズ
22.SAMURAI 5
23.裸の太陽