華麗なるレース(リミテッド・エディション)華麗なるレース(リミテッド・エディション)
クイーン

USMジャパン 2011-03-16
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1. Tie Your Mother Down
2. You Take My Breath Away
3. Long Away
4. The Millionaire Waltz
5. You & I
6. Somebody To Love
7. White Man
8. Good Old Fashioned Lover Boy
9. Drowse
10. Teo Torriatte (Let Us Cling Together)

東日本大震災の被災者へのチャリティーアルバムとして発売された「Song For Japan」は、世界中で大ヒットを記録している。収録曲の中でも日本国内で特に注目を集めていたのが、Queenの゛Teo Torriatte (Let Us Cling Together)゛だった。唯一日本語で歌われており、しかもその内容が本当に心に響く。私も昔この曲を初めて聴いた時の感動を今でも覚えている。今回こうした形で再び見直されているのは嬉しい限りである。

彼らの日本に対する思い入れは一際強いものがある。70年代のデビュー時、まだ本国で不遇な扱いを受けていた頃に、唯一熱狂的な歓迎で迎えたのか日本だったのである。そんな日本に対して感謝の意で作られたのが、先の曲なのである。

今回はこの曲が収録されている1976年の5th「A Day at The Races」を取り上げたい。このアルバムはタイトルとジャケットの通り、前作「A Night at The Opera」の対になっている作品である。しかし前作がかの゛Bohemian Rapsody゛を収録していることから(もちろんそれだけではないが)、歴史的名盤の扱いを受けているのに対して、こちらが話題になることはほとんどない。だが個人的な思いを言わせてもらえば、このアルバムは彼らのキャリアで2nd「Queen Ⅱ」と双璧をなす彼らの美学を極めた頂点であると思っている。

冒頭M1のハードロックは彼らの代表曲であるし、M 6はFreddieのゴスペル趣向が満開しこれでもかという分厚いコーラスが盛られた名曲だ。そしてラストは先の名曲M 10。いつも注目を浴びるのはこの3曲だが、このアルバムはそれだけではない。Freddieの物悲しくも美しいピアノが印象的なM 2、Brianのギターに心が洗われる隠れた名曲M3、ワルツで始まり奇想天外な展開を見せるプログレッシブなM4、もはや二大巨頭に全く見劣りしないJohnのM5、Freddieお得意の軽快なM8、ラストへのブリッジとなる浮遊感のあるRogerのM9、と全編に渡り素晴らしい楽曲群がまるでめくるめく絵巻のように続いてゆく。

前作が何が飛び出すか分からないようなバラエティに富んだ作品だったのに比べて、今作は気品と優美にトータルカラーを統一した作品であると感じている。今まで何度聴いてきたか分からないが、自分にとってこれほど全く飽きが来ない作品も珍しい。初めてのセルフプロデュースも大成功だったと言えるだろう。彼らのキャリアは全般的に好きだが、彼らの英国人として気品が感じられるこの5枚目までの第一期を、私は特に愛してやまない。

ちなみにこの5thを含む諸作が今回リマスターで再発されているが、これはまだ未聴なので今度聴いてみたい。またGW中に開催中の「クイーン&MUSIC LIFE展」も是非見に行こうと思っている。

★★★★★