ドン・フェルダー自伝 天国と地獄 イーグルスという人生ドン・フェルダー自伝 天国と地獄 イーグルスという人生
ドン・フェルダー 山本 安見

東邦出版 2010-12-17
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 今日は遂にEaglesの来日公演だ。東京ドームのS席アリーナC10。正直もう少し前がよかったのだが、正面なのがせめてもの救い。で、その来日に合わせてか、Don Felderの自伝が書店に並んでいた。これまでバンド内の確執についてはよく知らなかったが、バンドに貢献していないという理由で2001年に解雇されたという話や、「Heaven & Hell」という著書のタイトルからして、バンドに対してマイナスの内容が並ぶ暴露本であろうという予測はついた。正直読むべきか少し迷ったが、購入してみた。

 Donはフロリダの貧しい機械工の次男として生まれ育っている。優秀な兄と対照的に取り柄もなかった彼は、ギターと出会うことで自らの才覚を開花させていくことになる。しかしStephen StillsやBernie Leadonといった子供の頃に一緒にバンドを組んだ仲間たちが、やがてCrosby, Stills & NashやFlying Burrito Brothersなどで次々と成功を収めていく一方、Donはジャズロックバンドなどに加わり、ニューヨークやボストンを転々としつつも、いつまでもうだつが上がらなかった。Duane AllmanやDelanie & Bonnieなどとの出会いやチャンスもありながらも、それらをものに出来なかったのは、彼の慎重な性格と、早くに作った嫁や子供が理由だったと言える。

 しかし友人Bernieの説得に折れ、西海岸へと移り住んでから、彼の人生はようやく回り始める。David BlueやCrosby & Nashのサイドマンを経て、最終的にBernieのいたEaglesに合流することになる。しかしカントリーをやりたかったBernieは、音楽性の相違からバンドを脱退。以降゛The Gods゛と呼ばれるようになるDon HenleyとGlen Freyの二人による独裁体制が加速していくことになる。やがてロック路線を推し進めたバンドは大成功を収めるが、それに伴いドラッグ、グルーピー、金と妬みなど様々な問題点や確執が顕著になっていくことになる。

 救いは名曲゛Hotel California゛の制作のくだりだろう。この曲の原曲を作ったのは筆者なわけだが、彼がマリブビーチでJoe Walshとのツインリードを想定しながらデモを作り、そこにDon Henleyが例のストーリーを乗せていったという過程は非常に興味深かった。同時にこれがこのバンドの創造性やメンバーシップのピークでもあったわけである。

 再結成の「Hell Freezes Over」以降はもうドロドロである。Eaglesというバンドがどれだけ巨額の富を生むモンスターとなったのか、それに比例してメンバー間の関係がいかに冷え切っていたかが詳細に記されている。そして結成当初はイーブンな関係であったバンド内の均衡が、メインソングライター&シンガーであるGlenn FreyとDon Henleyに完全に偏ってしまったことに納得のいかなかった著者が、最終的に解雇されるわけである。

 Eaglesのバイオグラフィーとして貴重な一冊であることは間違いない。また確執についても確かにこれは一方的な見解ではあるわけだが、これら全てが作り話とは思えない。ただこれは多くのバンドによく起きる話であるとは思う。これを読んだ今としては、上手く自分の中で先入観を排除しながら、今日の来日公演は純粋に音楽を楽しみたいと思う。