エンド・オブ・ジ・イノセンス(紙ジャケット仕様)エンド・オブ・ジ・イノセンス(紙ジャケット仕様)
ドン・ヘンリー

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1. The End Of The Innocence
2. How Bad Do You Want It?
3. I Will Not Go Quietly
4. Last Worthless Evening
5. New York Minute
6. Shangri-La
7. Little Tin God
8. Gimme What You Got
9. If Dirt Were Dollars
10. The Heart Of The Matter

 Eaglesの来日公演まであと1週間となった。ここのところ、レココレ、Rolling Stone、Crossbeatなど色んな洋楽誌で特集が組まれているが、彼らが表紙になっている雑誌を見るたびに、思わず手に取って買ってしまう今日この頃である。さて今日は先日紙ジャケで再発もされた、1989年のDon Henleyのソロアルバムを取り上げてみたいと思う。

 1989年というのは私にとって洋楽にハマるようになった最初の年であり、この頃にラジオから流れていた曲は私の洋楽の入り口だった。今でもこの頃の曲を聴くと懐かしく思える、私にとってのエバーグリーンである。Don Henleyのこのアルバムもそうしたものの一つだ。しかしかつてEaglesの顔として名声を馳せた彼のことを、当時の私は実はよく知らなかった。Eaglesのことを知っていたかどうかすら定かではなく、私は彼を一人のシンガーソングライターというくらいの認識しかしていなかったと思う。

 Eagles初期において、彼は単なるドラマーだった。たまにマイクを前にすると隠し持っているハスキーな素晴らしい歌声を聴かせることのできる、ある種Eaglesの秘密兵器的な存在であったようだ。しかしやがてバンドのメインボーカルとしてその存在感を現わしていくことになる。

 また彼はリリックを書く才能にも恵まれていた。大学で英文学を専攻していたエリートだったこともあり、彼は非常に巧みに言葉を紡ぐことができる。社会に対する深い洞察と機知、鮮やかな情景描写、そしてストーリーテリングを織り交ぜながら、“Hotel California”に代表されるような芸術品を作り上げるのである。

 さらにプロデューサーとしての一面もあった。完璧主義者である彼は、最高のものを作るために、非常に細かい一音一音にまで神経を尖らせていた。バンドの頃はそれが他のメンバーにもうとましく思われることも少なくなかったようだ。しかし結果的にその完璧主義がアルバムのビッグヒットにつながったのである。

 こうした持っている才覚を発揮し、バンド解散後も彼はソロとして大成功を収めることとなった。この5年ぶり3枚目となった今作においても、グラミーでベスト・ロック・ヴォーカル賞を受賞している。M3のようにGuns ‘N RosesのAxl Roseと一緒にハードにロックしている曲もあるが、彼の真骨頂はやはり味わい深いボーカルをミドル~スローテンポでじっくりと聴かせる楽曲だろう。特にM4、M10、そしてWayne ShorterのサックスとBruce Hornsbyのピアノが素晴らしいM1は聴くたびに郷愁を誘う名曲である。またDavid Paichと故Jeff PorcaroのToto組が参加しているジャジーなM5も佳曲だ。他にも多くの多彩なゲストを迎えており、プロデューサーにDanny Kortchmar、ドラムにSteve Jordan、ベースにPino Palladino、バックボーカルにはTake6、J.D.Souther、まだ無名だった頃のSheryl Crowも名を連ねている。大人になって聴くと改めてその曲と歌詞が響く良いアルバムだと思う。

 彼のソロとしては最近は"Boys Of The Summer"しか演奏されていないが、是非ともこのアルバムから1曲、できればM1かM10を聴かせてほしいものだ。

★★★☆