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先週ご紹介した回想録に基づいて撮られたのがこの映画。アメリカではウッドストック40周年の2009年に公開されている。日本では2011年になりようやくミニシアターで公開されたわけだが、あまりにも遅すぎたと言っていい。あの年本国では色々とウッドストック関連商品がリリースされたりと盛り上がっていたが、日本でもこの映画がタイミング良く全国ロードショーで公開されていたら、もっと国内のウッドストックムーブメントに拍車をかけることができたかもしれないのに、もったいない。

さて感想だが、事実は小説よりも奇なりというのを痛快に実感することができるのが、この映画の醍醐味だろう。一人の青年の一本の電話によって白馬の王子がヘリコプターによって登場し歴史的一大イベントが動き出すだとか、何もなかった小さな町が突如として50万人のヒッピーによって埋め尽くされたりなどは、まるで映画のような話であり、映像化するにはうってつけの題材と言っていい。

しかしいくつか原作にあって映画からは抜け落ちていたエピソードがあったのが気になった。まず地元住民との戦いを描くのであれば、公聴会が最適だったろう。ElliotがLangeや弁護士とともに、大勢の住民で溢れる公聴会で、反対と賛成の怒号の中で町議会議員一団と正に手に汗を握る攻防を繰り広げるシーンは見たかった。また確かに彼は記者会見では適当なことしか言っていないが、ラジオ生放送では「自由の国家を一緒に作ろう」と熱く演説を語り、翌日その放送に共感した若者たちが押し寄せたというのが事実だ。これも感動的なエピソードなはずである。

そしてやはりと言うか、彼のゲイとしてのエピソードはほとんどカットされていた。原作の中では、彼自身のゲイとしての性体験や自己否定、そしてゲイの人権問題についてかなりのページが割かれていた。これは原作の中で恐らくウッドストックよりも比重の大きい最大のテーマだったと言える。それがあったからこそ、主人公はフェスのヒッピー文化を通して初めて自分自身を受け入れることができ、真の自由と解放を得ることができたのである。しかしこの映画は彼の自伝ではなく、メイキング・オブ・ウッドストックなわけで、大衆にアピールするためにも、そこはカットせざるえなかったのだろう。

まぁ何だかんだ言っても、このウッドストックフェスを実体験していない私のような世代にとって、当時の様子や舞台裏を疑似体験できる貴重な映画であることには違いない。そしてやはりこの偉業を成し遂げたElliot Tiberの功績は称賛に値するだろう。