ウッドストックがやってくるウッドストックがやってくる
トム・モンテ エリオット・タイバー 矢口 誠

河出書房新社 2009-08-19
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 先日から国内での上映が開始した映画「ウッドストックがやってくる」。これは1969年のかの有名なウッドストックフェスティバルの、招致人であるElliot Tiberが2007年に出版したノンフィクションの回想録に基づいて撮影されたものである。映画に先立ってその原作のレビューからアップしようと思う。

 まず最初に、その主人公が実はデブでゲイで内気なユダヤ人だったという事実に、少なからず驚かされる。彼はニューヨークで金物屋を営んでいた貧しく偏屈な両親のもと、理解も愛情も受けられずに育った。その結果、自分を癒してくれたアートと、自分を受け入れてくれたゲイに、自分の居場所を見つけることになる。やがてインテリアデザイナーとしてある程度成功を手にするが、血迷った両親が始めたニューヨーク州べセルのさびれたモーテルの経営不振を助けることになってから、彼の人生は下降線を辿っていく。町の商工会議所会長として町興しに尽力し、小さいが音楽とアートの催しを毎年開催しするものの、状況は全く変わらなかった。

 しかし彼が、別の街での開催に頓挫し新たな開催地を探していたフェスの主催者Mike Langeに電話をかけてから全てが一変する。大挙して押し寄せるヒッピーの群れ、猛反発する地元住民との攻防、そしてそれらに対処し続ける中で真の自由を取り戻していく主人公。彼やMikeらがクライマックスに向かって前代未聞の規模のフェスを動かしていく様子は非常にスリリングである。

 文面はシニカルなユーモアに溢れており読み手を飽きさせない。が、それは同時にそうせざる得なかった主人公のやり場のない気持ちの現れでもあるのだと思う。またかなりキワどいゲイの性描写もあるが、これは恐らく映画では描けないことだろう。来週は実際に映画を見ての感想をアップしたい。