Trials of Van OccupantherTrials of Van Occupanther
Midlake

Bella Union 2006-07-25
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1. Roscoe
2. Bandits
3. Head Home
4. Van Occupanther
5. Young Bride
6. Branches
7. In This Camp
8. We Gathered In Spring
9. It Covers the Hillside
10. Chasing After Deer
11. You Never Arrived

 「このバイオリンがいいんだよ」と彼は言った。当時彼は11歳、日本で言うと小学校5年生である。私が11歳の時は音楽のことなどさっぱり分からなかったものだ。スゴい感受性だと驚かされた。

 私が初めて彼に会ったのはその10年前、彼がまだ1歳の時であった。その時私は大学生で、日本の大学を1年間休学し、留学でアメリカのラスベガスに来ていた。その子はそのステイ先としてお世話になっていた親戚の子供だった。親戚は皆日本人だが、なかなか日本人離れしたおしゃれなセンスを持った一家だった。音楽も好きな一家であり、伯父はSwing Jazz、伯母はDavid BowieやU2、そして10歳違いの兄も色んな音楽を聞いていた。

 彼は当時1歳であったため、もちろん当時言葉も話せなかったが、両親の日本語以外は兄を含めた全てが英語を発していたため、やがて彼も英語を母国語として成長していった。それに伴い音楽的なセンスも磨かれていったようだった。

 10年後見違えるほどに大きくなった彼が来日した。そしてその際に一つの曲を私に教えてくれた。名曲だった。そしてその3年後、彼の両親が離婚をしたことを伝え聞いた。

 その曲はMidlakeというカナダのグループの"Young Bride"という曲だった。牧歌的かつ内省的な音楽を特徴としており、特にこの曲の優美なバイオリンのメロディは素晴らしかった。今でも仕事帰りの家路にふとこのメロディが頭を流れ、秋の夜空に物憂げに響く。その度に私はアメリカのどこかにいるであろう従兄弟のことを思い出すのだった。