どうしても読みたかったにもかかわらず絶版になっていたために、中古本屋を散々探してようやく見つけた1冊。都心のDisc Unionで見つけた時は、思わず声を上げてしまった。

 この伝記本は、なかなか知りえなかったThe Bandの歴史の全てを事細かに描写してくれている。カナダで生まれ育った少年たちが、本場アメリカ南部出身のロックンローラーRonnie Hawkinsのバンドに加入し、ライブ演奏を学習していった頃。フォークファンを裏切って激しい非難の嵐を浴びるBob Dylanとともに、狂った車輪となって転がり続けた頃。狂騒を離れ、WoodstockのBig PinkでDylanとともに隠遁生活をしながら、自らの音楽を醸成していった頃。デビューするまでにおよそ10年近くを要したわけである。

 そしてようやくThe Bandとしてデビューを果たすわけだが、そのアメリカンルーツに足をつけた1st「Music From Big Pink」が話題になる一方で、あえて人前に出ないようにしていたというあたりは、やはり当時のバンド群とは変わっていた存在であった。アルバムを作ってそのプロモーションツアーをすることへの違和感や、Woodstockなどのフェスティバルでの場違い感など、常にショービジネスに対して一歩引いた姿勢を持っていたのが興味深い。

 また本書を読んでバンドの一人一人のメンバーのキャラクターがよく見えてくる。実質的なリーダーRobbie、人情派南部人Levon、陽気なRick、学及肌の博士Garth、ナイーブなRichard。それぞれが様々な楽器を操る技巧派なわけだが、こうした一人一人の愛すべきキャラクターを知ることで、より一層このバンドの魅力が大きなものとなった。

 しかし一つ気になるのは、筆者のこの伝記を執筆するスタンスである。初期の作品こそ高く評価しているものの、それ以降の作品やショーについてはほとんど酷評を繰り返している。世間で絶賛された「The Last Waltz」ですら、わざわざ当時の評価の低いレビューを引用してきてくれる。確かにそれらは事実なのかもしれないが、これを読むファンとしては残念であった。

 さて次は是非ともLevon Helmが自ら記した「ザ・バンド 軌跡」を読みたいところだが、こちらも絶版のようだ。果たして見つかるだろうか。