サン・パトリシオサン・パトリシオ
チーフタンズ feat.ライ・クーダー

ユニバーサル ミュージック クラシック 2010-03-10
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1. La Iguana (Lila Downs)
2. La Golondrina (Los Folkloristas)
3. A la Orilla de un Palmar (Linda Ronstadt)
4. Danza de Concheros (Los Folkloristas)
5. El Chivo (Los Cenzontles)
6. San Campio (Carlos Nunez)
7. The Sands of Mexico (Ry Cooder)
8. Sailing to Mexico (Carlos Nunez)
9. El Caballo (Los Camperos de Valles)
10. March to Battle (Across the Rio Grande) (Banda de Gaita de Batallon, Liam Neeson, Los Cenzontles and L.A. Juvenil)
11. Lullaby for the Dead (Moya Brennan)
12. Luz de Luna (Chavela Vargas)
13. Persecucion de Villa (Mariachi Santa Fe de Jesus (Chuy) Guzman)
14. Cancion Mixteca (Intro) (Ry Cooder)
15. Cancion Mixteca (Los Tigres Del Norte)
16. Ojitos Negros (Los Cenzontles)
17. El Relampago (Lila Downs)
18. El Pajaro Cu (La Negra Graciana)
19. Finale (Los Cenzontles, Carlos Nunez, Los Folkloristas, Banda de Gaita de Batallon and L.A. Juvenil)

 最近このThe Chieftainsというグループの存在を知り興味を持った。もう既に結成から50年間に渡って伝統的なケルト音楽を演奏し続けてきたアイルランドのベテラングループである。それだけでもスゴいことだが、彼らがスゴいのはそれに留まらず、これまでロックやカントリーなど世界中の様々なジャンルのアーチストたちと交流やコラボレートをし続け、常に新しい音楽を創造し続けている。伝統的でありながら、革新的なグループなのである。

 そのThe Chieftainsが今回あのRy Cooderと組んでコンセプトアルバムを制作した。このタッグは以前The Chieftainsの「Santiago」やRyの「My Name Is Buddy」でもお互いのアルバムに参加している。今回は1846~48年にアメリカとメキシコ間で繰り広げられた米墨戦争において、メキシコ側に味方して戦ったアイルランド人カトリック教徒の聖パトリシオ大隊を題材にしており、その英雄とされる兵士たちを現代に伝えることを目的としている。

 ここでの楽曲はメキシカントラディショナルありオリジナルありだが、そのアレンジとしてはThe Chieftainsが持つアイルランド音楽と、メキシコのミュージシャンが持ち寄るメキシコ音楽が、見事に融合されている。きっと当時2つの文化が出会っていたら生まれていたであろう新しい音楽が構築されているのである。またアメリカのLinda RonstadtやVan Dyke Parksの他、メキシコの歌姫Lila DownsやアイルランドのCarlos Nunezなど3カ国から大勢のゲストミュージシャンを迎え、曲毎に豪華なゲストたちがそれぞれに華を添えている。DVDのメイキング映像にもあったが、特にM1はタップダンスまで披露される大円団。M10はアイルランドのマーチングバンドが行進曲を盛り上げ、M12では90歳のChavela Vargasが歌っている。

 音楽とは文化であり、また文化の数だけ音楽がある。そして異なる文化と文化が邂逅した時に、新しい文化と新しい音楽が誕生する。これが文化の歴史であり、音楽の歴史なのである。この2大アーチストによる共演が提唱している異文化交流の素晴らしさが、もっと世界に広がりますように。

★★★★☆