ジミ・ヘンドリクス 鏡ばりの部屋 (P‐Vine BOOKs)ジミ・ヘンドリクス 鏡ばりの部屋 (P‐Vine BOOKs)

ブルース・インターアクションズ 2008-01-11
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 私は音楽を読むことが大好きです。レビュー解説本や伝記本を読みながら、音楽に新たな発見をすることが非常に楽しみであります。そのため、よく本屋や中古本屋で興味のある新刊・旧刊を見つけると、ついつい買ってしまいます。しかし、いかんせん時間がない。この週末みたいに土日まで仕事だと、本当に時間がない。そのため、読んでいない本がどんどん積み重なっていく。それはCDも同じで、未消化のCDが沢山あるわけなのに、どんどん新しいCDが増えていく。1週間ほど本気で引きこもりたい今日この頃です。

 さて、ようやく読み終わったジミヘンの伝記本。1960年代後半に一世を風靡するものの、デビューからわずか4年でこの世を去った、伝説的な黒人ギタリスト。そのテクニックや、火をつけたり、歯で弾いたりといったパフォーマンスは、つとに有名ですが、彼の生い立ちから死に至るまでがここには克明に記されています。この詳細さは、恐らく筆者の膨大なインタビューの賜物でしょう。

 彼は幼少の頃から貧困生活や複雑な家庭環境、そして黒人であることによる差別など、幾多の困難をくぐり抜け生きながらえていました。生活のために軍隊に入隊するも、音楽へ陶酔するあまり自らゲイであると偽り退役を認められます。そしてR&BやブルースやDylanなど影響を受けながら、自身のワイルドなスタイルを完成させていきます。南部からニューヨークへとどさ回りをする内に、The AnimalsのChas Chandlerに見出だされ、イギリスに渡った後に、彼は瞬く間にスターになる。その後、成功により手に入るようになった、名声、ドラッグ、女などに溺れながらも、音楽的挑戦を続けるが、その栄光もわずか4年で終わりを告げるのでした。

 このたった4年間で当時そして後世に与えた影響は計り知れないほど大きい。しかし彼のあまりにも壮絶な人生において、彼は常に何かを求め、手にし、そして失い続けてました。この希代の才能を持ったスターは果たして幸せだっただろうか、と疑問が残ります。この伝記は映画化が予定されているようです。