ピアノのイントロから"Bridge Over Troubled Water"が始まると大歓声が起こった。1番はArtが2番はPaulが、そして3番は二人そろって歌う。それぞれの歌い出しで思わず拍手が起こる。しかし"If you need a friend"まで歌うと、Paulはすっと後ろに身を引いた。ここからの主役はArtだ。最後の"♪And pain is all around ~ !!"、Artの渾身の歌声がこだまする。もはや67歳とは思えぬ力強さ、さらにワントーン上がる、"Like a bridge over trouble water ~ !!!" 鬼気迫る絶唱が観衆に迫る。思わず目頭に熱いものがこみあげる。今までのコンサート経験でこんなことは初めてだ。曲が終わると大歓声と同時に、これまで座席から動かなかった観客が皆一斉に立ち上がり、本編が終わってもいつまでもアンコールを求め続けていた。

 アンコールは名曲"Sound Of Silence"。二人の美しいハーモニーとギターの音色だけがこだまする。アコギ1本のデュオは、近年日本全国の路上やテレビの中でも沢山見かける。しかしこの必要最小限のユニットで、彼らほど綺麗なハーモニーを聴かせる完成されたデュオは、先にも後にも存在しない。一つだけ残念だったのは、せっかく立ち上がった観衆たちが、静かな曲のため全員また座ってしまったことぐらいか。続く"The Boxer"も、これまた名曲。"Lai la lai ~ ♪"のコーラスのリフレインがいつまでも続いていく。

 2度目のアンコールも静かに始まった。"Leaves That Are Green"。緑の葉が茶色に変わっていくように、諸行無常の寂しさを歌う。バックのステージセットでは、天井に向かって1本から5本に樹木の枝のように広がる照明セットが、緑色と茶色に色づいており、この曲のためのセットだったことが分かる。しっとりと終わるのかと思わせて、最後は"Cecilia"。パーカッシブなリズムに観衆も盛り上がる。曲終了後、PaulとArtがバンドメンバーを全員紹介し、再度"Cecilia"のコーラスを聴かせてくれ、夢の時間は終了した。

 さて、今回のセットリストでは代表曲はほぼ網羅していたが、あえて他に演ってほしかった曲を挙げるのであれば、「Old Friendツアー」で演っていた"At The Zoo"や"Baby Driver"、"Keep The Costomer Satisfied"などだろうか。また個人的にギターでよく歌っていた"April Come She Will"や"Flowers Never Bend With The Rainfall"なんかも聞いてみたかったものだ。

 今回期待以上の感動を与えてくれた彼ら。本当に素晴らしい夜だった。


Setlist
1. Old Friends
2. Hazy Shade of Winter
3. I Am A Rock
4. America
5. Kathy's Song
6. Hey Schoolgirl
7. Be Bop A Lula
8. Scarborough Fair
9. Homeward Bound
10. Film clip ~ Mrs Robinson
11. Slip Slidin' Away
12. El Condor Pasa

Art Garfunkel Solo Time
13. Bright Eyes
14. A Heart in New York
15. Perfect Moment

Paul Simon Solo Time
16. Boy in the Bubble
17. Graceland
18. Still Crazy After All These Years

19. Only Living Boy in New York
20. My Little Town
21. Bridge Over Troubled Water

== 1st Encore ==
22. Sound of Silence
23. The Boxer

== 2nd Encore ==
24. Leaves That Are Green
25. Cecilia
27. Introductions of band ~ Cecilia (reprise)