Live at Cellar Door (1972)
Richie Havens
Five Star (Cit570)
1995-09-30





1. Can't Make It Anymore 
2. All Along the Watchtower 
3. Helplessly Hoping 
4. God Bless the Child 
5. The Night They Drove Old Dixie Down 
6. No More, No More 
7. Preparation
8. Here Comes the Sun 
9. Fire and Rain 
10. Superman
11. Dolphins 
12. Nobody Knows the Trouble I've Seen/My Sweet Lord

今年はRichie Havensのデビュー50周年になるのですが、The Beatlesと違ってこちらはどうも話題になることはなさそうなので、ここで取り上げたいと思います。

彼は1966年に黒人フォークシンガーとしてデビューしました。彼が一躍有名になったのは1969年のウッドストックフェスティバル。他のミュージシャンの会場入りが遅れたために、予定外にオープニングとして50万人が待つステージに登壇。まるで僧侶のような出で立ちで、アコースティックギターを掻き鳴らしながら”Freedom”を叫んだその熱演は大歓声を浴び、結果ウッドストックの1つの象徴となりました。

その後自身のレーベルを立ち上げコンスタントに作品を発表する一方で、教育や環境問題にも取り組んでいました。93年にはBob Dylanの30周年コンサートに出演し、素晴らしい演奏で再び脚光を浴びています。

今日取り上げるのは70年に行われたライブレコーディング。大観衆を前にして扇情的に演奏をしたウッドストックとは一転し、ここでは小さな会場でアットホームな雰囲気の中で聴かせます。当時のレパートリーはほとんどが有名曲のカヴァーで、George HarrisonやCrosby Stills Nash & Young、Bob DylanやThe Bandらの楽曲を演奏していますが、かなり独自に解釈されたアコースティックアレンジになっています。

Richie Havensの魅力はまず歌声。決して器用なタイプではないですが、その低い歌声は暖かみがあると同時に、1つ1つの言葉を誠実に訴えかけてきます。もう1つの魅力は彼のアコースティックギタープレイ。ソロはもう1人が担当しているので、彼はもっぱらコードストローク専門なのですが、とにかくカッティングがスゴい。普通には真似出来ないくらいに速くて細かいカッティングを聴かせ、特に静かな曲ではこれが聴く人の心を搔きむしります。スタジオアルバムではエレクトリックにアレンジがされてしまっているのですが、このライブではほぼ完全にアコースティックなので、そうした彼の魅力を最大限に味わうことができます。ユーモアのあるトークにも彼の人柄が感じられます。 

2013年に惜しむべくもひっそりと他界してしまいましたが、この50周年を機に再評価されればいいなと思います。