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去る10月28日にGipsy Kingsの来日公演を観に行ってきた。14年振りの来日だが、私は今回初。前回の時は全く情報が入って来なかったので、気付いた時には後の祭だった。いや、そもそも情報を得るには普段からアンテナを張っていなければいけなかったのだ。そう後悔し続けた14年間だった。

東京3日間のうち最終日の赤坂Blitzで、この日のみスタンディング会場だった。彼らの音楽を座ってなんて聴いていられないと思ったので、私はこの日を選んでいたのだが、恐らく同じ理由の人も多かったのではないだろうか。会場に入り何とかステージ前2列目を確保できた。

時間直前からステージ左端でメンバーかローディーか分かんないおじさんがチューニングを始めて、少し時間を押して暗転。歓声の中まずはバックバンドが登場、右からキーボード、ベース、ドラム、パーカッションの4人で、音出しついでのインストを奏で始める。次にフロントに立つうちの若者達4人が登場し、ギターを掻き鳴らし音を重ねる。ファミリーネームがよく分からなかったのだが、Reyes家かBaliardo家の息子達なんだろうか。そこへ真打のToninoが黒いギターを持って登場。この人は太った。昔はあどけない顔をしてたのに、今ではどこからアゴでどこから首なのかよく分かんない位だ。だがそのプレイは変わらず素晴らしかった。

最後に大歓声の中Nicholasが登場し”A Ti A Ti”を歌い始める。こちらも腹はぷっくり出ているが、シルバーヘアに派手なTシャツ、貫禄のある風貌はどこか地中海のマフィアっぽい感じ。そして何よりのその歌唱力。ハスキーがかった歌声は昔から変わらない張りがある。陽気な”A Ti A Ti”では情熱的に、続くしっとりした”Quiero Saber"では哀愁を湛えて歌い上げる。

次は聴いたことのないインスト。ここの主役はTonino。私は目の前だったのでずっと彼の右手を観ていたが、例の爪先でのトレモロから、ネックまで広く弾いて、最後はパーンと手を払うように決めるその見事な動きに釘付けだった。彼はやっぱり私の最も好きなギタリストの1人である。丸いけど。

若者達もボーカルを取る曲もあった。”Atu Vera”ではNicholasが引っ込み右端にいたYohanが、”Ben Ben Maria”では左側にいたJoseが担当していた。また彼らは観客を煽ったり、ギターの弾き鳴らし合戦をしたり、フラメンコを踊ったりと、ステージを大いに盛り上げていた。当初CanutもPachaiもいないと知りショックだったが、実際にステージを見る限り、彼ら若者がグループに活気と刺激を与えていることが分かった。

フラメンコにおいてパルマ(手拍子)は重要な要素だが、実際にこのパルマのリズムを取るのは日本人には非常に難しい。メンバーが先導したり、私の前例にいた詳しそうな人が叩いてリズムに習ってやっていたが、複雑な上に曲によって全部違うリズムで、ライブに集中できなくなりそうなので途中で諦めた。いいのだ、ジプシールンバは愉しむことが前提なのだから…。

中盤の"Yo So A Quel"ではメンバーが皆引っ込み、NicholasがベースのPagaだけをバックにギターを弾きながらしっとりと歌った。Nicholasは左利きなのだが、逆手であのギターを弾いているのは傍目で非常に難しそうに見えた。またベースも非常に巧くて見物だった。できればここに以前のようなToninoのアコースティックソロも残しておいて欲しかった気もした。

個人的に最も嬉しかった曲は”La Dona”。会場の反応は薄かったが、個人的にはこの初期の名曲は聞き物だった。またCanutの名曲”La Montana”も聴けたのは嬉しかったが、逆にCanutがいない寂しさも感じた。

日本で人気の高い”Inspiration”で場内のボルテージは上がり、以降は”Samba Samba”に”La Quiero”と立て続けにノリの良い曲が並ぶ。そしてトドメは”Bamboleo”。ここでは何と「ひょっとこ連」と書いた着物を着た6人の女性方が阿波踊りをしながら踊り出てきた。”Inspiration”でジプシールンバが日本の時代物とマッチすることを証明していたわけだが、これは全く予想していなかったため驚きだった。マッチしていたかどうかは分からないが、面白い企画だと思った。ここで本編終了。

アンコールではバックバンドと若者組のみで再登場して、”Baila Me”からスタートした。その後Toninoが加わり最初期の”Pena Penita”を演ってくれた。ラストにNicholasも加わり締めは”Volare”。今回の来日のスポンサーにもなっているキリンのCMのお陰で、日本での一番の人気曲、場内も大合唱。終わった後にメンバー整列した際に、1人の観客が歌っていたのに合わせてNicholasが再度アカペラで”Volare”をサビだけ唄ってくれた。そして他のメンバーが下がった後もスペイン語でずっと語りかけてくれたのだが、よく分からず。ただ聞き取れた「Merci」や「Gracias」そして「We love Japon」だけでも意味は充分通じていたと思う。

他会場ではここでMy Wayのカヴァー”A Mi Manera”をアカペラで歌ってくれたという噂があったので、アリーナにいた人達は明るくなりアナウンスがあっても尚アンコールを求め続けていたが、結局この日はそれはなし。1曲多く演ってくれていたので時間がなくなってしまったのだろう。それでも充分満足だったし、本当に素晴らしいステージだった。

1. Intro
2. A Ti A Ti
3. Quiero Saber
4. Tucson
5. Atu Vera
6. Djobi Djoba
7. Bem Bem Maria
8. La Dona
9. Yo So A Quel
10.Fairies
11.La Montana
12.Inspiration
13.Samba Samba
14.La Quiero
15.Palmero
16.Bamboleo
encore
17.Baila Me
18.Pena Penita
19.Volare