エマージェント
ゴーディアン・ノット
マーキー・インコーポレイティド
2002-12-18


1. Arsis
2. Muttersprache
3. A Shaman's Whisper
4. Fischer's Gambit
5. Grace (Live)
6. Some Brighter Thing
7. The Brook the Ocean
8. Singing Deep Mountain
9. Surround Me (Japan Bonus Track)

解散のゴタゴタで何だかライブ後の後味が悪くなってしまったCynic。ライブではPaulやSean Reinartも巧かったが、個人的にはSean Maloneが観られたのが1番良かった。今日は彼に焦点を当ててみたいと思う。

Malone先生がCynicに加入したのは93年。それまでのテクニカルデスだったCynicがジャズ・フュージョンを導入して大胆に音楽性を変えたのは、彼の影響が大きかったのではないかと思う。Cynic解散後の96年に初ソロ作「Cortlandt」を発表したが、ここにはメタル色はなく、ほとんどジャズ・フュージョンの世界だった。

一方で彼は博士号を取得し、オレゴン大学で助教授として音楽理論について教鞭を執っている。Jaco Pastorius関連などベースに関する著書も4本執筆・発表している。こうした学術的なキャリアが先生と呼ばれる所以である。

やがて彼はGordian Knotというプロジェクトを主導する。98年と02年にこれまで2枚のアルバムをリリースしているが、Sean以外にもReinartやJasonも参加しており、ほとんどCynicの別動隊のようなプロジェクトだった。

さらにここに参加しているゲスト陣がスゴい。1stではKing CrimsonのTrey Gun、Dream TheaterのJohn Myung、WatchtowerのRon Jarzombek、2ndでもGenesisのSteve HacketやKing Crimson・Yes他のBill Bruford、といったプログレ界のそうそうたるメンツが顔を揃えていた。

そうした豪華なゲストのプレイもさることながら、やはり要はMalone先生。彼はベース以外にスティックという弦楽器を操るのだが、これは10本の弦を両手でタッピングで弾くものである。そのため通常のベースよりもより多彩で複雑なメロディを紡ぐことができ、弦楽器というより鍵盤楽器に近い。こうしたメロディ感覚が彼のベースプレイにも表れている。さらに彼はギター、キーボード、作曲・アレンジなど、あらゆることを手掛けている。

そしてここで聴ける音楽は本当に深遠で、オールインストながら全く飽きさせない。ソロ作の反動かここではメタル色が戻り、ジャズ・フュージョンを消化したプログレッシブメタルという作風。ベクトルは2作とも同じだが、1stは少し難解で後期King Crimsonに近い印象だった。それが2ndではメロディアスになり、より調和を重視した作風になっている。動と静のコントラストが明確になり、表情豊かなギターとスティックのソロが美しくドラマティックな世界を構築している。特にM2, M6, M8は名曲。これもライブを観たかったものだ。

先日の公演後に写真撮影や握手をさせてもらった際に軽く聞いてみたのだが、誰とやるかは分からないが、またGordian Knotの次作は作りたいと言っていた。その言葉を信じて楽しみに待つとしよう。 

★★★★