フォーカス
シニック
ロードランナー・ジャパン
2002-12-18





1. Veil of Maya
2. Celestial Voyage
3. Eagle Nature
4. Sentiment
5. I'm But a Wave to...
6. Uroboric Forms
7. Textures
8. How Could I

いよいよ来週末に迫ったCynicの初来日公演。最近のヘビロは当然彼らの名盤1st「Focus」である。初めてこれを聴いた時は衝撃的だった。以来幾度となく聴いたが、今でも聴く度に感嘆させられる。

彼らは87年にPaul Masvidal (Vo, G)とSean Reinert (D) によってフロリダで結成された。その後メンバーが入れ替わりながら数々のデモを制作し続けたが、DeathやAtheistなど各メンバーの課外活動のために実際にデビューに至るまで長い時間を要した。Jason Gobel (G) とSean Malone (B) が加入しメンバーが固まりようやくデビューしたのが93年のことだ。

この作品の中には、全く異なる2つの世界観が共存している。1つはテクニカルデスの世界、もう1つはジャズ・フュージョンの世界だ。前者ではデスボイスが咆哮するバックで超絶テクニックのギターとリズムセクションが駆け抜ける。後者では一切のディストーションを排したクリーンなギターとスティックのサウンドが幽玄な調べを奏でる。毎曲中この両者の間で幾度となく転調を繰り返し、時には完全融合するのだが、そのあまりの違和感のなさが驚異的なほどにプログレッシブなのである。Paulのボーカルも常にヴォコーダーを通して高く歪ませていて、これも不思議な浮遊感を生んでいる。

91年のデモも聴いたが、そこでは単なるテクニカルデスでジャズ・フュージョン色はまだどこにもなかった。この2年の間の変化は大きい。今作ではデスボーカルはゲストメンバーであり、以降の作品でもデスメタルの要素は急速に減少していく。結局彼らにとってのデスメタルとはあくまでも一過性の表現方法だったようだ。

しかし今作ではこのあまりにもかけ離れた両者の間の振幅が、それぞれの効果を最大限に爆発させており、それが強烈な個性となっていた。当時これを聴いてしまったお陰で、以降変態と銘打った作品は全て物足りなくなってしまった。ここまで奇天烈で美しく完成度の高い作品は他に類を見ず、この1枚であっけなく解散したという事実も彼らの孤高性を高めたと思う。

★★★★★