Disc 1
1. Chan Chan 
2. De Camino a la Vereda 
3. El Cuarto de Tula 
4. La Engañadora 
5. Buena Vista Social Club 
6. Dos Gardenias 
7. Quizás, Quizás 
8. Veinte Años 

Disc two
1. Orgullecida 
2. ¿Y Tú Qué Has Hecho? 
3. Siboney 
4. Mandinga 
5. Almendra 
6. El Carretero 
7. Candela 
8. Silencio

先日のハイチと同じカリブ海に浮かぶ美しい島キューバ。今年はこのキューバとアメリカの国交正常化交渉が話題になっており、先日遂にキューバのアメリカ大使館も再開したらしい。かつてのキューバ危機から続く冷戦時代の負の遺産を清算することができれば偉業である。

キューバには昔から固有の素晴らしい音楽がある。それを世界に紹介してくれたのが97年の「Buena Vista Social Club」だった。Ry Cooderが急遽集めたキューバの古参ミュージシャン達による至宝のような音楽は、後にWim Wenders監督の同名映画によって、ワールドミュージック史上空前の大ヒットとなった。

ここに参加していた面子はとにかく皆老練揃いだった。99年の映画が撮られた時点で、ボーカルのIbrahim Ferrerは72歳、ピアノのRuben Gonzalezは80歳、ギターのCompay Segundoに至っては何と92歳!そんな彼らが熟練の演奏を聴かせる。

今日取り上げたいのは、彼らが98年にニューヨークのカーネギーホールに出演した時の伝説のライブアルバム。これは2008年にようやくリリースされたものだが、何故10年もお蔵入りさせていたのか不思議な位素晴らしいものだった。ソンやグァヒーラ・ボレロなどの伝統音楽が、スタジオアルバム以上に生き生きとした演奏で繰り広げられる。特に女王Omaraの歌うM6の高揚感は感動的だし、M5で感極まって流す彼女の涙を拭うIbrahimの姿も思い出させる。愛すべき老演者達が強いお互いの絆から紡ぎ出す至宝のような音楽だ。

このように彼らがアメリカに入国することができたのは、当時比較的自由なクリントン政権だったからであった。しかし後のブッシュ政権になってからは両国間の往来は禁止され、このプロジェクトは頓挫を余儀無くされる。そしてそうしている間、悲しいことに2003〜2005年に主要メンバーが皆他界してしまうのである。

ちなみに今年の3月には未発表音源集「Lost & Found」がリリースされたが、これもまた素晴らしかった。毎年夏になると、こうした南国の音楽が心地良い。

★★★★★