Anthology
Bic Runga
Sony Import
2012-12-04


1. Get Some Sleep
2. Sway
3. Listening For The Weather
4. Good Morning Baby (feat. Dan Wilson)
5. Something Good
6. Roll Into One
7. Drive
8. Bursting Through
9. Say After Me
10.Winning Arrow
11.Hello Hello
12.Suddenly Strange
13.Tiny Little Piece Of My Heart
14.Gravity
15.Ne Me Quitte Pas (feat. CSO)
16.One More Cup Of Coffee (feat. CSO)
17.Everything Is Beautiful And New
18.Something's Gotten Hold Of My Heart (feat. CSO)
19.Precious Things (feat. Tim Finn and Dave Dobbyn)
20.If You Really Do
21.Birds
22.The Be All And End All

最後にもう1人素晴らしい女性アーティストを紹介したい。Bic Runga。彼女はニュージーランド出身。珍しい名前にエキゾチックな顔立ちの彼女は、マオリ人の父と中国系マレーシア人の母を持つ。個人的に私は仕事柄華僑系の東南アジア人女性の知り合いが多いので、彼女にもどこか親近感を感じる。

彼女がデビューしたのは1997年。当時彼女はまだわずか19歳だったが、作詞作曲もプロデュースも全て自分で行っていた。結果”Sway”がアメリカのコメディ映画「American Pie」に使われヒット。アルバムも本国では7プラチナムを記録した。

しかしその後しばらく音沙汰がなかった。2ndアルバム「Beautiful Collision」がリリースされたのが2002年。その5年の間に彼女は自分が本当に満足のいく作品を作るために努力し続けていた。曲作りに活かすために、ギターに加えてピアノやドラム、ドブロにワーリッツァーに至る様々な楽器を習得してレコーディングに臨んだ。アメリカとニュージーランドの5つの街を転々とし、8カ所のスタジオ、12人のエンジニアと仕事をし、本当に納得のいく音作りを目指した。結果2ndは本国で11プラチナムという驚異的なセールスを記録した。

キラキラと輝くような瑞々しいメロディ、綺麗だが芯のある歌声。The SmithやBob Dylanに影響を受けたという歌詞にも、非常に巧い隠喩や描写が光る。デビュー作ではかなりヘヴィな曲もあったりと様々な表現を試していたが、基本的にその後の作品は全体的に落ち着いた雰囲気で方向性が定まっている。妥協することなく、素晴らしい楽曲を書き続けた結果が、このベスト盤である。良い曲ばかりだが、特にM2、M5、M11、M14は名曲。決してコンスタントとは言い難いが、歩みを止めることなく着実に自身のキャリアを積み上げ、彼女は今や自国のアーティストとしては歴代最高セールスを記録している。この彼女の功績は称賛に値するし、こうした音楽をきちんと評価するところにニュージーランドの素晴らしさを感じる。

★★★★