Tails
Lisa Loeb
Geffen Records
1995-09-26


1. It's Over
2. Snow Day
3. Taffy
4. When All The Stars Are Falling 
5. Do You Sleep 
6. Hurricane 
7. Rose Colored Times 
8. Sandalwood 
9. Alone 
10. Waiting For Wednesday
11. Lisa Listen 
12. Garden Of Delights
13. Stay

眼鏡の文学的女性シンガーソングライターLisa Loeb。デビュー当時はまだ眼鏡萌えなどという言葉はなかったが話題になっていたのは、それだけ珍しかったし、彼女の音楽によるところでもあった。デビューアルバムはよく聴いたし、男女問わず勧めた友人の間でもちょっとしたブームだった。

デビューのきっかけは彼女が俳優Eathan Hawkと友人だったため、彼が主演する映画「リアリティ・バイツ」に”Stay”を主題歌として提供したことだ。ところが正式なデビュー前にも関わらず、この曲はみるみるうちに全米No.1を獲得することになる。そうしてその後リリースされたのがこのデビューアルバムだった。

彼女の作曲のベースになるアコースティックギターの音色を残しつつ、そこにNine Storiesという名のバックバンドがシンプルに味付けをしている。中にはM3やM12のようにハードなビートを効かせている曲や、M8のように弾き語りもあるが、全体的にはLisaの爽やかなアコギとキュートなボーカルにNine Storiesの小気味好いロックサウンドが見事に溶け合っている。そして大ヒットしたM13が霞むほどに煌めくメロディの曲ばかりで、特にM1,M2,M7は名曲。

またバンドの名は作家J.D.Salingerの作品のタイトルから付けられており、歌詞も非常に文学的である。そこに繊細で複雑な等身大女性の心情が綴られている。これは当時女性の気持ちを全く理解していなかった若僧にとって教科書のようなものだったし、初めて女性アーティストの歌詞をちゃんと読むきっかけにもなったものだった。珠玉のメロディと、文学性や知性を感じさせる歌詞、そして同時代的なオルタナティブな感覚も持ち合わせているというところは、同年にデビューしたBen Foldsに近いものを感じた。

後年何度も来日したり、ドラマの主題歌になったり、またハローキティが好きなことを表明したりといったこともあり、ここ日本でも安定した人気があるが、一番の要因はやはり眼鏡萌え属性のためなのかもしれない。

★★★★