日曜デート

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毎週日曜になると彼女に逢いに車を走らせる。横浜まで片道1時間強。日頃通勤や仕事でヘトヘトなはずなのに、この運転は不思議と苦にならない。

最近スマホを買ってもらった彼女から、ちょこちょことLINEが入るようになった。「おはろー」「いってきまーす」などが様々なスタンプと共に飛んで来る。先月の私の誕生日には、私の好きだった丹沢と初冠雪の富士山の写真を撮って送ってくれた。小学生にスマホなんてまだ早い、とか言っていたくせに、一番恩恵を受けているのはきっと私だろう。

日曜のデートコースはほとんど彼女任せ。好きなものを食べさせた後、言われるままにアイカツのゲームや漫画喫茶などに連れて行く。今日はせっかくの天気なので公園に行ってみた。紅葉を楽しんだ後に、テラスで食事をしながら他愛のない話をする。

ふと思い出す。そういえば昔若かった頃は、よくこうして車を走らせ誰かに逢いに行っていたものだった。いつか君にも誰か良い人が出来るだろうけど、それまでは少しだけ時間を分けてもらいたい。

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Paul Barrere 急逝

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Little FeatのフロントマンPaul Barrereが急逝した。享年71歳だった。

最近は最期まで生涯現役を貫くミュージシャンが多い。Paulも9月にThe Weight Bandと共に来日していたばかりだったので、にわか信じがたかった。

後で知ったのだが、Paulは晩年肝臓ガンを患っており、今年のLittle Featのツアーにも参加していなかったらしい。あの時はたまたま調子が良かっただけだったのだろうか。

正直言うと私は元々Paulのことはあまり好きではなかった。途中加入のLittle Featで、主役Lowell Georgeのお株を奪うようなスライドギターとボーカルパフォーマンスは、Lowellファンとしてはあまり気分の良いものではなかったからだった。しかし今思えば、あの時ドラッグで不調気味だったLowellの代役を誰かがやらねばならず、Lowell亡き後も長年にわたってバンドを牽引し続けなければならなかった。そう考えれば、彼の果たした功績は大きい。

9月のBillboardでのステージでは、足腰は悪そうだったが、素晴らしいスライドを聴かせてくれていた。特にアンコールでの"Dixie Chicken"が印象深い。

RIP


RWC2019

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日本で開催されたラグビーワールドカップ2019が閉幕した。会場にこそ行けなかったが、仕事柄関係する手配を色々していたので、予想を遥かに超える盛り上がりが我が事のように嬉しかった。

個人的には昔から最強のイメージの強かったオールブラックス・ニュージーランドの敗退が残念だったが、準々決勝で日本を降した南アフリカの優勝も喜ばしいものであった。どこも本当に強いチームばかりだったが、やはり開催国の日本にとって、初のベスト8進出を果たした日本代表の快進撃は偉業だった。

1次リーグ戦で見せた鉄壁のスクラム。周囲を置き去りにして独走していく松島や福岡のトライ。何度も鮮やかに決め続けた田村のPG。様々なシーンが印象に残っているが、その中でも特に印象深いのはリーチ・マイケルである。

あれだけ身体を痛めても何度も相手の足めがけてタックルする姿には頭が下がった。しかしそれと同じ位に勝利後の無表情も印象深かった。アイルランドに勝った時ですら全く喜ぶ様子が見られず、彼が初めて笑顔を見せたのはスコットランド戦の勝利後。主将として双肩にかかる予選通過というプレッシャーの大きさを見るようだった。

今回の大会中、人によっては「純粋な日本人のチームじゃない」と揶揄する声もあった。確かに外国人選手たちは日本民族ではないかもしれない。しかし日本に帰化した選手も多く、日本の心を持ち日本という国をプレッシャーとともに背負って戦った。そんな彼らは間違いなく日本人だと私は思いながら観戦していた。改めて感謝の意を伝えたい。


天覧山登山

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今から20年ほど昔、私はある英会話スクールのマネージャーとして、埼玉県飯能市で勤務していた。電車の便が悪かったため、片道1時間余りかけて国道16号を車で2年間通勤していたものだった。

先日懐かしくなり行ってみたのだが、久しぶりに訪れた飯能の街はほとんど変わっていなかった。もっともスクールは私の退職後に経営破綻していたので跡形もなかったが。。

飯能の駅前には多くのハイカーの姿があった。最近飯能や近くの天覧山は「ヤマノススメ」という登山アニメの舞台になった影響で聖地化しているらしい。予定にはなかったが、せっかくなので天覧山へ行ってみることにした。

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既に日が沈みかけていたが、山の麓に車を停め、登山口から登り始める。麓には能仁寺という寺がある。

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登山口を行くとすぐ左手に立派な忠霊塔が立っていた。

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わずか数分後に広い天覧山中段に到着。ここからも展望が開けていた。

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急に沢山の仏像に出くわした。十六羅漢といい、能仁寺が徳川五代目綱吉の病を治したことに対する生母 桂昌院からの寄進らしい。

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山頂直下は急な岩場となっていた。

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登山開始からわずか10分で山頂(195m)に到着。山名は明治天皇による登頂が由来らしい。

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山頂からの眺望は良いのだが、あいにく曇天のため富士山は見られなかった。

今回は登山と呼べるほどのものではなかったが、低山ながらもなかなか歴史深い山だった。こんな山が住む街にあると良いだろうな。

小島烏水「日本アルプス 山岳紀行文集」



1. 鎗ヶ嶽探険記
2. 山を讃する文
3. 奥常念岳の絶巓に立つ記
4. 梓川の上流
5. 雪中富士登山記
6. 雪の白峰
7. 白峰山脈縦断記
8. 日本北アルプス縦断記より
9. 谷より峰へ峰より谷へ
10.飛騨双六谷より
11.高山の雪
12.日本山岳景の特色
13.上高地風景保護論
14.不尽の高根

先日のウェストンに続いて今回は小島烏水を取り上げたい。日本で最初の山岳会(後の日本山岳会)の創設者である。

小島烏水(1873-1948)は横浜の銀行員、つまり一介のサラリーマンだったが、山に対する情熱は並々ならぬものがあり、毎年有給を駆使して各地の山々を踏破し続けていた。まだ地図もなく猟師や修験者以外は山に登る者などいない時代である。元々文才もあったため、多くの紀行文も残しているが、その代表作が全4巻の「日本アルプス」であり、本著はそのハイライトを抜粋したものである。

冒頭に収録されている”槍ケ嶽探検記”は次のように始まる。「余が槍ケ嶽登山をおもひ立ちたるは一朝一夕のことにあらず。何が故に然りしか。山高ければなり。山尖りて嶮しければなり。」最初はこのような漢文体、後年は口語体と、時代により文体も変化しているが、言葉の美しさは変わらない。

苦労の末に槍ケ嶽登頂に成功し喜んだのも束の間、自分よりも先に登頂し紀行文を発表していたウェストンの存在を知ることになる。そのウェストンを訪ねた際に、日本でも山岳会を作ることを勧められるのである。この2人の出会いが日本登山史の幕開けとなった。

もう1人烏水に大きな影響を与えたのがジョン・ラスキンである。烏水の文章には山中で観察される岩石や植物について詳述しており、彼の博学にも感嘆するが、ラスキンも同様だった。また烏水も山と同じ位に美術を愛し、山岳画のみならず美術全般に通じていた。彼の収集した国内外の版画のコレクションは膨大なものであり、後年に横浜美術館に寄贈されている。

私が再び山にハマったきっかけは横浜美術館で観た丸山晩夏と大下藤次郎の水彩画だったが、これらも彼らと親交のあった烏水の所蔵だったらしい。烏水に感謝しなければいけない。

Ginger Baker他界

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先週10月6日にGinger Bakerが他界した。享年80歳だった。

言わずと知れたCreamの名ドラマー。Jack Bruce, Eric Claptonと共に最強トリオを結成し、わずか2年半という短い期間で、ロック史を大きく塗り替えた。特にGingerの豪快でパワフルなドラミングは後世に与えた影響も大きく、今でも最も偉大なロックドラマーの1人と言われている。

解散の要因にもなったJackとの不仲は有名で、再結成はあり得ないと言われていた。そのため2005年の再結成時は驚きであり、日本にも来てくれることを願っていた。しかしJackが2014年に他界、そしてGingerも逝ってしまった。2人は向こうで再会できただろうか。

RIP


「北丹沢讃歌 ~我心の山~」

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日頃毎日新聞を購読しているのだが、中でも最も楽しみにしていたのが、季節毎にカラーで神奈川県版に掲載されていた丹沢の写真だった。春の山麓の桜、初夏の山稜のシロヤシオ、秋の紅葉、冬の霧氷。色、構図、タイミングなど、全てが絶妙な作品ばかりで、まとめて写真集にしてほしいと思っていた。

撮影者はいつも同じ方だった。白井源三さん。調べてみると県内在住の写真家で「神奈川県の山」の執筆者でもあった。それ以来県内で写真展があると足繁く通うようになった。橋本のギャラリープラットで開催された「富士山を丹沢より望んで」では、蛭ヶ岳周辺から撮影された見事な富嶽の数々が展示されていた。また相模原公園で開催された「南米紀行」では、アコンカグア、マチュピチュ、パタゴニアなどの素晴らしい風景が展開されていた。

行くといつも気さくに撮影のよもやま話を聞かせて下さった。特に丹沢のことは何でもご存知で、檜洞丸のシロヤシオについて教えて頂いた折には、すぐに登りに行った。私の丹沢の先生だった。

今回の県外への引越しでもう先生の新作を見ることが出来なくなったのは残念でならない。直接売って頂いた写真集を眺めつつ、来年の写真展を楽しみにしている。その前に先生の仕事場である蛭ヶ岳は踏破しなければ。

ハーフ成人式

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「ハーフ成人式をやりたい」と10歳の誕生日を控えた娘が言った。要はアイカツみたいなドレスを着て写真を撮りたかったのだろう。そんなものがあるとは私は知らなかったが、良い節目になると思った。

もう10歳。生まれたのはつい先日のような気もするが早いものだ。でもこの10年の間の成長を見てきたし、沢山の思い出もある。

そんな娘と今月から離れて暮らすことになった。離婚のため私は家を出て東京郊外に住み、毎週末娘に会いに行くことになる。これまでも平日はほとんど家にいなかったので、顔を合わせる頻度はそんなに変わらないのかもしれない。それでももう側にいられないというのは大きい。

ドレスで着飾った娘は我が子ながら綺麗だった。これからもっと成長し大人っぽくなっていくのだろう。いずれ反抗期になりパパに会いたくなくなるかもしれないし、新しいパパが出来るかもしれない。それでもこのパパが君のことを想う気持ちはいつまでも変わらないだろう。

「奥の細道330年 芭蕉」展



「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。舟の上に生涯を浮かべ、馬の口とらへて老いを迎ふる者は、日々旅にして旅を栖とす。」

これは松尾芭蕉「おくのほそ道」の序文である。初めて触れた時は、読み辛い漢文訓読体にひるんだが、慣れるにつれて強く共感するに至った。江戸初期の北日本の史跡名所を巡る紀行文としても面白いし、随所で詠まれている俳諧も素晴らしい。何より生涯を旅に捧げた生き様と、情感豊かな自然描写に感銘を受けた。

この芭蕉と曽良による北への巡礼は1689年の春から秋にかけて。今年はその旅から330年ということで、これを記念した芭蕉展が出光美術館で催されていたので観に行った。場内には芭蕉翁にまつわる品々がずらりと展示されていた。まずは翁自筆の短冊や掛け軸。「古池や」の自筆短冊もあったし、自画の画巻も見事なものだった。また出光美術館は与謝野蕪村や池大雅らの文人画のコレクションで有名だが、蕪村の「奥之細道図」(重文)もあった。

そもそも奥の細道は、翁が敬愛する西行の500回忌に合わせて敢行されたもので、西行の和歌に詠まれた歌枕(名所旧跡)を巡る旅だった。本展では俵屋宗達の「西行物語絵巻」(重文)も展示されていた。

江戸から日光・松島・立石寺・月山、岐阜大垣まで600里(2400km)。いつか私も巡ってみたいものだが、歩いて回るのは絶対無理だ。

最後に私の好きな芭蕉翁の俳諧を3句挙げておく。

夏草や 兵どもが 夢の跡
雲の峰 幾つ崩て 月の山
旅に病んで 夢は枯野を かけ巡る

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「ジョアン・ジルベルトを探して」

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ジョアン・ジルベルト(Joao Gilberto, 1931-2019)、ボサノヴァの創始者。この映画「ジョアン・ジルベルトを探して(Where are you, Joao Gilberto, 2018)」の日本公開が決定したのは6月上旬だったと思う。以来楽しみにしていたのだが、7月7日に流れたニュースに愕然とした。ジョアン・ジルベルト他界。享年88歳だった。

勘違いする人もいるかもしれないが、この映画はよくある偉大な音楽家を讃えるドキュメンタリー映画とは製作意図が全く異なる。元になっているのは、ドイツ人作家マーク・フィッシャー(Mark Fischer)の著書「Ho Ba La La」。これは彼が憧れたジョアンを探してブラジルを訪ね歩いた記録だが、その願いは叶わず本著出版直前に自死を遂げている。この本に共鳴したフランス人監督ジョルジュ・ガショ(Georges Gachot)が彼の意思を引き継いだのがこの映画である。

リオデジャネイロにディアマンティーナ、5年前のマークの足跡を辿る。ミュージシャン仲間、元妻、料理人、理髪師、マークが会ったジョアンを知る関係者を訪ね歩く。10年以上雲隠れしているジョアンを探しながら、同時にマークも探しているかのよう。テレビ、レコードショップ、人々の歌声、リオの街中にジョアンの音楽は流れている。しかしリオにいるはずのジョアンには辿り着けない。

ジョアンに会いたい。ドア越しでもいいから、”Ho Ba La La”を聴かせてほしい。死んだマークのために。そんなジョルジュ監督の想いの詰まった映画だった。


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