鷹取山

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先週は名登山家の加藤文太郎について書いた。彼の出身は兵庫県だが、漫画版「孤高の人」では神奈川県横須賀の出身とされている。現代版の若き文太郎は、その横須賀の鷹取山でクライミングの修行を積む様子が描かれていた。私も少しボルダリングをかじった身としてこの鷹取山に興味を持っていたので、昨年秋に娘を連れて行ってみた。

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横須賀の街外れで、しばらく坂を登ると鷹取山公園に到着。展望が良く、横須賀の市街や海が見渡せた。

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少し行くと巨大な垂直の絶壁が聳え立っていた。昭和初期まで凝灰岩の採石場だったことから、このような奇観が出来たらしい。

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岩壁には無数の穴が空いてるが、これは全てハーケンの跡らしい。これまでどれだけ多くのクライマーがここに挑戦したかを物語っている。

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岩壁にはクライマー達がロープを張りながら果敢に攻めていた。ここでのクライミングには鷹取山安全登山協議会への登録が必要とのこと。私にはとても無理だが、見てるだけでも楽しめる。

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裏側の階段を登ると岩壁の上にある鷹取山(139m)山頂の展望台まで行けた。上から見ると足がすくむが、クライミングに成功した後にここから見ればきっと最高なのだろう。

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鷹取山には他にも見所がある。ルートから外れたところに無数にある仏像壁画群。古そうに見えるが昭和40年代とわりと最近のものらしい。

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そして山路をしばらく歩くと姿を現したのが磨崖仏。高さ9mもあるこの巨大な弥勒菩薩尊像も昭和35年の制作だという。

もっとも娘は岩壁も仏像も全く興味を示さずずっと早く帰りたがっていたので、全然ゆっくり見ることが出来ず。やっぱり1人で行くべきだったか。。

「新編 単独行」 加藤文太郎

新編 単独行 (ヤマケイ文庫)
加藤文太郎
山と渓谷社
2010-11-01





第1章 単独行について
 単独行について
 冬・春・単独行ー八ヶ岳/乗鞍岳/槍ヶ岳/立山/奥穂高岳/白馬岳
 一月の思い出 - 劒沢のこと
 僕の単独(富士・冬)
 私の冬山単独行
第2章 山と私
 私の登山熱
 山と私
 山へ登るAのくるしみ
 初めて錯覚を経験した時のこと
 冬山のことなど
 山に迷う
 穂高にて
第3章 厳冬の薬師岳から烏帽子岳へ
 初冬の常念山脈
 槍ヶ岳・立山・穂高岳
 厳冬の薬師岳から烏帽子岳へ
 槍から双六岳及び笠ヶ岳往復
 厳冬の立山、針ノ木越
第4章 山から山へ
 北アルプス初登山
 兵庫立山登山
 縦走コース覚書
 兵庫乗鞍-御嶽-焼登山記
 兵庫槍-大天井-鷲羽登山
 南アルプスをゆく-赤石山脈・白根山脈縦走
 山行記
 神戸附近の三角点
 冬の氷ノ山と鉢伏山
 春山行
加藤・吉田両君遭難事情及前後処置
後記(遠山豊三郎・島田真之介・加藤花子)

2度目の緊急事態宣言が発令中なので、休みの日は出来る限り外出を控えて、もっぱら読書に勤しむ。積み本というのだろうか、とかく読む本は常にある。

昭和初期の名登山家 加藤文太郎(1905-1936)。私が最初に彼を知ったのは坂本眞一の漫画「孤高の人」だった。これは実際の加藤文太郎の姿ではなく現代版のリメイクで、ボルダリングで頭角を現した彼が国内の高峰群を冬季単独行で制覇した後に、カラコルムのK2に挑むというストーリーだった。

その後に原作である新田次郎の名著「孤高の人」を読んだ。人付き合いの下手な彼が、一日で六甲山脈を全縦走したことを皮切りに、北アルプス等を冬季単独で制覇した末に、初めてパーティを組んだ北鎌尾根で遭難死したという内容。正に孤高という彼の山行に感銘を受けたものの、事実とは少し異なるということを知った。

そして行き着いたのが本人が書いたこの「単独行」だった。ここには彼自身による人間らしい飾らない言葉が綴られている。

文太郎は1905年に鳥取県浜坂の生まれだ。その後神戸で三菱造船の技師として働く傍ら、山歩きに目覚める。六甲山後の山行として本書ではその後の氷ノ山等の兵庫アルプスへの登山が頻出する。当地の各山を兵庫槍、兵庫乗鞍などと呼ぶあたりお茶目な一面を見せている。

憧れの日本アルプスに赴くようになってからは恐ろしい勢いで制覇していった。燕〜大天井・槍・穂高〜上高地〜乗鞍〜木曽駒を11日間で、戸台〜千丈〜甲斐駒〜台ヶ原〜八ヶ岳〜浅間山を5日間など、どれも単独行である。

夏期に全て制覇した彼はやがて厳冬期の山行へとのめり込んでいく。自ら登山経験を積む中で、行動食として甘納豆を常備したり、目出し帽を開発したりと工夫も重ねた。そして薬師岳〜烏帽子岳縦走や槍〜笠ヶ岳ピストンなど、充分な睡眠も取らずに夜通し踏破している。雪穴を掘って仮眠を取る際にも直前に温かいものを食べれば凍死しないと確信していたようだ。しかしとても常人は真似をしてはいけないだろう。

確かに彼は人付き合いが得意ではなかったが、決して常に孤独だったわけではなく、同じ山仲間と山行を共にすることもあった。しかし岩登りやスキーに苦手意識があったのと、彼の歩くスピードが人並み外れていたことから、必然的に単独行が多くなっていた。

昭和11年冬、文太郎は後輩吉田富久と北鎌尾根から滑落後に遭難し還らぬ人となった。新婚で娘も産まれたばかりだった。後記にある花子夫人の気丈な寄稿文が胸を打つ。

私自身も山行は基本的にいつも単独なので、この偉大な先人から学ぶことは多かった。しかし単独行に付き纏う危険については常に注意しなければならないという思いも新たにした。

Phil Spector 他界

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今年は年明けから訃報が続く。60年代の名プロデューサーPhil Spector (フィル・スペクター)が他界した。享年81歳だった。

真っ先に思い返されるのは"Be My Baby"のイントロだ。タメとエコーの効いたドラムの後に流れてくる目眩くような音の洪水。この1963年の名曲はRonnieの歌声とも相まり、当時のドリーミンなアメリカを象徴している。

バンドサウンドに分厚いコーラスやらブラスセクションやらストリングスなど、とにかく片っ端から音を積み上げるこのウォール・オブ・サウンドが与えた影響は大きかった。彼がいなければ、Brian Wilsonの「Pet Sounds」も、Leon Russelのスワンプロックも産まれていなかったと断言して良いだろう。

後年はドラッグや奇行が目立つようになり、しまいに殺人まで犯し収監された。こうした悪行で名声が傷ついたのはもったいないが、音楽史に残した功績は消えることはないだろう。
 
RIP


Tim Bogert 他界

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Vanilla Fudge・Beck, Bogert & Appiceのベーシスト・ボーカルTim Bogert (ティム・ボガート)が去る1月13日に亡くなった。享年76歳だった。

Vanilla Fudgeは本当に強烈だった。1967年にアメリカの東海岸からSupremesのカヴァー"You Keep Me Hanging On"でデビュー。原曲を叩き壊すような斬新なアレンジと派手な演奏が鮮烈で、アルバムは全米6位を記録した。

特にTimとCarmine Appiceのリズムセクションは強力だった。個人的にはCreamのJack Bruce & Ginger Baker、Jimi Hendrix ExperienceのNoel Redding & Mitch Michelleと並ぶ60年代の3強リズム隊だったと思っている。

2人はVanilla Fudge解散後にCactusを結成。さらにその後は念願だったJeff BeckとともにBeck, Bogert & Appiceを組み来日も果たしている。

Vanilla Fudgeはその後も何度か再結成をしているが、近年Timは体調不良のため参加していなかった。

RIP


オリンピックミュージアム

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新型コロナウィルスの第3波の猛威は留まるところを知らない。先日また1都3県に緊急事態宣言が発令され陰鬱な年明けとなった。昨夏から今夏に延期となった東京オリンピック・パラリンピックの開催もより遠ざかった感がある。

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そんなオリンピックであるが、昨秋に聖火が日本オリンピックミュージアムで公開されていた。これを観に行った時の様子も一応書いておこうと思う。ミュージアムは完成した新国立競技場の隣にある。

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館内に入ると、古代ギリシアのオリンピックの起源や、クーベルタンによる近代オリンピックの創設など、長い歴史が貴重な資料とともに紹介されていた。

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これまでの各大会で使用された聖火リレートーチ。1964年の東京オリンピックのものもあった。

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1964年東京大会、1972年札幌大会、1998年長野大会の各大会のメダル。札幌大会だけ銀がなかった。

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色々な競技での選手の身体能力を実感できるような体験もあったのだが、あいにく感染防止のために休止中だった。

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これがギリシアから特別機で運ばれてきたという東京2020の聖火。金色のランタンの中で小さな炎が揺れていた。

実は私も仕事の関係で何年も前からオリンピックの開催に向けてかなりの時間と労力を費やしてきた。そこで関わった多くの世界中の関係組織や企業の苦労も知っている。それだけに今のこの日本と世界の状況がやるせない。経済も大事だが、この負のスパイラルを終わらせるために今が正念場だろう。このトンネルの先の晴れた夏空が見たい。

2020年 備忘録

謹賀新年
昨年は世界中で歴史的な厄年となった。個人的にも仕事が激減し休業も増えた。もっとも一昨年までは有給などろくに使ったこともなかったので、この機に色々山やミュージアムへ行き、本を読んでみた。報道や状況を気にしながらではあったが。

<山>
①八丈富士(西山) (854m, 東京)
③御岳山(929m)・大岳山 (1,266m, 東京)
・夜叉神峠 (1,770m, 山梨)
・陣馬山 (857m, 東京/神奈川)
・三国山(960m)・生藤山 (990m)(東京/神奈川/山梨)
・羅漢寺山(弥三郎岳)(1,058m, 山梨)
・大室山(580m, 静岡)
・三頭山(1,531m, 東京/山梨)
・鷹取山(139m, 神奈川)
②蛭ヶ岳(1,672m, 神奈川)
・大菩薩嶺(2,056m, 山梨)

昨年は奥多摩によく通った。まだ鷹ノ巣山や雲取山などを残しているが、今年からは本格的に山梨に進出したい。

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<ミュージアム>
②絵のみち・祈りのこころ - 日本画家 後藤純男の全貌 @千葉県立美術館
・谷文晁×富士山 -山を写した時代の寵児- @静岡富士山世界遺産センター
・書物で見る日本古典文学史 @国文学研究資料館
・小島善太郎展 @ひの煉瓦ホール
・不洗鉄展 @古美術きうん
・石川直樹 講演会 @東京都立多摩図書館
・かこさとしの世界展 @八王子市夢美術館
・ロベール・ドアノー展 @横浜そごう美術館
・武蔵野と里山の風景 @ギャラリーコンティーナ
④ショパン - 200年の肖像 @練馬区立美術館
・金澤翔子展 @ギャラリーコンティーナ
・描かれた土方歳三 @日野新選組のふるさと歴史館
・開館記念展Ⅰたまびらき @たましん美術館
・昭和天皇・香淳皇后の御服 @昭和天皇記念館
・創立84周年 日本山岳画協会展 @東京都交通会館
・コレクションに見る山 @山梨県立美術館
・希望のひかり展 @西山美術館
・真喜志勉TOM MAX Turbulence1941-2015 @多摩美術大学美術館
・リケイ考古学 @東京都立埋蔵文化財調査センター
・熊谷榧 油絵小品展 @安曇野山岳美術館
・槍ヶ岳 彩り~山小屋スタッフ5人展~ @田淵行男記念館
・博物学と登山 @大町山岳博物館
①日本山岳画協会 北アルプス展望美術館展 @北アルプス展望美術館
・平岡忠夫新作巨樹絵画展 @日原森林館
・倉田三郎展 @日原ふるさと美術館
・田代由子展 @奥多摩町立せせらぎの里美術館
・国立公園 その自然には物語がある @国立科学博物館
・東京2020オリンピック聖火 @日本オリンピックミュージアム
・航空スポーツの世界 @航空科学博物館
・手書き、ひらめき、おもいつき展 @ジブリの森美術館
・絵心を描く作品展 @峠の小さな美術館
③バンクシー展 天才か反逆者か @横浜アソビル
・モノクロームの冒険 @根津美術館
・MANGA都市TOKYO @国立新美術館
・私たちは、マジで___が大好きなんだぜ!展 @FabCafe Tokyo
・THIS IS JAPAN IN TOKYO ~永遠の日本美術の名宝 @東京富士美術館
・ダヴィンチ没後500年 夢の実現展 @東京富士美術館
・クールベと海 @山梨県立美術館
・第5回 白山眺望大賞受賞作品展 @深田久弥山の文化館
⑤生誕150年 大下藤次郎と水絵の系譜 @群馬県立館林美術館
・前田真三写真展 ふるさと完全版 @八王子市夕やけ小やけふれあいの里 前田真三写真ギャラリー

ミュージアムは少しでも気になったものは片っ端から行ってみたら、結果かなりの数になった。もうこんなに行くことはないだろうな。

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<本> (敬称略)
・「氷壁」井上靖
・「芙蓉の人」新田次郎
・「私の履歴書 日本画の巨匠」東山魁夷・加山又造・平山郁夫
・「巨大アートビジネスの裏側」石坂泰章
・「クリフ・バートン」ジョエル・マクアイヴァー
・「南極点征服」ロアルド・アムンゼン
・「遥かなる未踏峰 上下」ジェフリー・アーチャー
・「武蔵野」柳田邦男
①「武蔵野の日々」高橋嬉文
・「夢幻花」東野圭吾
・「たゆたえども沈まず」原田マハ
・「赤毛のアン」L. M. モンゴメリ
・「黄色いテント」田淵行男
③「燃えよ剣 上下」司馬遼太郎
・「アルプスの少女ハイジ」ヨハンナ・シュピリ
・「ロッキー山脈踏破行」イザベラ・バード
・「ナンガ・パルバート単独行」ラインホルト・メスナー
・「初音ミクはなぜ世界を変えたのか?」柴那典
・「随想集 四季Ⅱ」串田孫一
②「孤高の道しるべ」上條武
・「おもかげ」浅田次郎
・「我らがパラダイス」林真理子
・「我らが少女A」高村薫
・「黒武御神火御殿 - 三島屋変調百物語六之続」宮部みゆき
・「ブラックチェンバーミュージック」阿部和重

本については昨年は意識して色んなジャンルに手を出してみたが。かなり手こずったものもあり、1か月に2冊ペースか。もっと読めたかもしれない。

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<訃報> (敬称略)
・コービー・ブライアント (1月)
・ショーン・レイナート (ex Cynic) (1月)
・ニール・パート (Rush)(1月)
・志村けん (3月)
・C.W.ニコル (4月)
・リトル・リチャード (5月)
・服部克久 (6月)
・ピート・ウェイ (UFO) (8月)
・エディ・ヴァン・ヘイレン (9月)
・筒美京平 (10月)
・まつもと泉 (10月)
・ショーン・コネリー (10月)
・矢口高雄 (11月)
・ショーン・マローン (Cynic) (12月)

やはり一番ショックだったのは志村けんさんだろう。身をもってコロナを怖さを教えてくれた。他にも敬愛する多くの人が亡くなった。RIP

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ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ「悲愴」「月光」「熱情」

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ「悲愴」「月光」「熱情」
ギレリス(エミール)
ユニバーサル ミュージック
2015-05-20


ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 作品13 《悲愴 (Pathetique)》
1 第1楽章: GRAVE - ALLEGRO DI MOLTO E CON BRIO
2 第2楽章: ADAGIO CANTABILE
3 第3楽章: RONDO(ALLEGRO)

ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 作品27-2 《月光 (Moonlight)》
4 第1楽章: ADAGIO SOSTENUTO
5 第2楽章: ALLEGRETTO - TRIO
6 第3楽章: PRESTO AGITATO

ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 作品57 《熱情 (Appasionata)》
7 第1楽章: ALLEGRO ASSAI
8 第2楽章: ANDANTE CON MOTO
9 第3楽章: ALLEGRO MA NON TROPPO - PRESTO

毎年年末になると世界中でベートーベンの第九が盛んに演奏されるのが恒例だ。私も昔学生の頃年末にクラシック好きの彼女に連れられて第九を聴きに行ったことがある。当時私は完全にロックしか興味なかったのだが、迫力ある演奏と合唱に感銘を受けたのを覚えている。

今年はベートーベン生誕250周年ということで、日本国内でも数多くのベートーベン絡みのコンサートが企画されていた。しかしこれらのほとんどは、今年世界中に蔓延した新型コロナウィルスの影響により中止や延期となってしまった。中でも毎年ゴールデンウィークに開催されていた国内最大級のクラシックの祭典「ラ・フォル・ジュルネ」では大々的にベートーベンイヤーが祝われる予定だったが、当然これも中止となっている。

ベートーベンは交響曲や協奏曲をはじめ無数に作曲しており、あまりにも奥が深い。そのため私のような初心者には触れづらいのだが、あえて言わせてもらえれば、私が一番好きなのがこの3大ピアノソナタだ。生涯で作曲した32のピアノソナタのうち最も有名な3つである。

第8番「悲愴」
この悲愴という題名はベートーベン自身が名付けたもの。第一楽章と第三楽章は、流れるようなアップテンポで、美しくもどこか物悲しい。ただ第二楽章だけは、全く雰囲気が異なり、どこまでも穏やかで優しい。私の中ではショパンの"牧童"と並んで最高の癒しピアノ曲となっている。

第14番「月光」
恐らくベートーベンのピアノ曲の中で最も有名なのがこの第一楽章だろう。この耽美的なメロディは他ジャンルでも多くカヴァーされている。月光という題名は正に雰囲気にピッタリだが、これはベートーベン自身が付けたものではなく、詩人レルシュタープが「スイスのルツェルン湖の月光の下で波に揺れる小舟のようだ」と評したことから付けられている。このジャケットもその情景そのもので良い。
また物凄く早い運指で圧倒される第三楽章もお気に入り。ピアノの得意な私の仕事仲間の女性は、むしゃくしゃした時はストレス発散のためにこれを弾くのだと言っていた。こんな曲を弾けたらさぞ気持ち良いだろうが、弾けるようになるまで練習することが非常にストレスフルな気がする。

第23番「熱情」
この曲の題名もベートーベンの命名ではなく出版商によるものらしい。しかし題名通り情熱的な旋律が展開される。エミール・ギレリスはかつてのソ連の名ピアニストだが、激しい超絶技巧としっとりとした美しさを織り交ぜながら素晴らしい演奏を聴かせてくれている。

現在世界中の音楽業界は演奏の機会を奪われ瀕死の状態で喘いでいる。来年は早く収束し、世界に音楽演奏が還ってきてくれることを祈っている。


大菩薩嶺

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今年の登り納めは奥多摩の鷹ノ巣山と思っていたが、想定ルートがあいにく通行止になっていたため、いっそ別の山塊を目指すことにした。いつも都心からは奥多摩山塊の左に同じ大きさの山梨の大菩薩山塊が見えているので、そこの最高峰の大菩薩嶺(2,056m)を目指した。もっともこの山は雲取山(2,017m)より高い割にずっと楽に登れる。まず大菩薩湖に立ち寄り山姿を拝みルートを再確認する。

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9:20 上日川峠に車を停めて登山開始する。天気予報に反して快晴だ。

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9:40 福ちゃん荘を通過。平日のため営業していなかった。

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唐松尾根というくらいカラマツが立ち並んでいるが、あいにくもう全て散ってしまっていた。

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しばらく登るとコメツガやトウヒといった常緑樹に変わる。歴史のある峠道の趣きがある。

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10:20 大菩薩峠(1,897m)に到着した。稜線上は冷たい強風の通り道となっており、体感温度は一気にマイナスとなる。

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東側を見ると今年登った奥多摩の山々が全て見渡せた。

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かつて「大菩薩峠」という歴史小説を書いた中里介山の文学碑が立っていた。

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賽の河原を通過する。ここだけ名前の通りものものしい雰囲気が漂っている。

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畳岩に到着。曇ってしまったが、大菩薩湖の向こうに鎮座する裾野を広げた富士山を拝むことが出来た。本当はここで昼食にしたかったが、あまりに寒くて先を急いだ。

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11:40 大菩薩嶺山頂に到着。ここは木立に囲まれているために眺望が全くない代わりに風を防げるのでここで昼食を取り下山した。

今回は周回ルートを辿ったが、直登すればもっと早く登ることも出来る。日本百名山であり絶景も堪能出来るのに、こんなに楽に登れてしまうので子供にもお勧めだ。

Sean Malone (Cynic) 急逝

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Cynicの名ベーシストSean Maloneが12月9日に他界してしまった。死因は不明。享年50歳だった。

今年の1月にドラマーのSean Reinertが亡くなったばかりだったのに、まるでその後を追うようにMalone先生まで逝ってしまうとは…。

Malone先生は本当に素晴らしいベーシストだった。大学で音楽理論を教え、ジャズ・フュージョンにも精通し、フレットレスベースやスティックを自在に操った。デスメタルでもプログレでも彼のプレイは常に超絶技巧なのに流麗でメロディアスで知的だった。

結局2015年のCynicの来日公演が最初で最後となってしまった。Reinertとのリズムセクションは正に最強だったが、特に私はステージ左手で5弦のフレットレスを涼しい顔で指弾きするMalone先生のプレイに終始釘付けだった。

終演後に私は撤収作業をしているMalone先生にお願いして写真を撮らせて頂いたのだが、無理を言ったにも関わらず微笑みながらポーズを取って下さったのが今でも忘れられない。

嗚呼何故…

RIP


大聖寺~深田久弥を訪ねて

先日の福井探訪の際に1か所だけどうしても行きたいところがあった。「日本百名山」で有名な深田久弥が石川県加賀市の大聖寺の出身であり、町中にはゆかりの地が多くある。それらを訪ね歩くべく、1時間に1本しかない北陸線に乗って大聖寺駅へ降り立った。荷物を詰めた重い登山リュックを駅のロッカーに預けようと思っていたがロッカーがない。仕方なく背負いながら歩き始めた。

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まずは久弥の生家である深田印刷へ。彼の部屋も見学可能らしいのだが、この日はあいにく休館だった。

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続いて当日の目玉「深田久弥 山の文化館」。直筆原稿や愛用品の展示の他、膨大な山岳書籍が並んだ「九山山房」や、白山の写真・絵画公募展のギャラリーなど盛り沢山で、あっという間に時間が過ぎてしまった。

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大聖寺藩祖前田利治と菅原道真を祀った江沼神社。庭園が見事だったが、ここに久弥の文学碑もあった。

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大聖寺城があったという金城山。ここには日本百名山発刊50周年記念碑がある。あいにく曇のため久弥が愛した白山はこの日は拝めなかった。

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町西の山ノ下寺院群の1つ本光寺。ここに久弥の墓がある。何も看板などなかったが、帰りがけの女性が私の登山姿を見て声を掛けて下さり、墓まで案内して頂いた。感謝。

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全昌寺にある久弥の句碑。彼は九山という俳人でもあった。ここは松尾芭蕉ゆかりの地でもあり、芭蕉らの句碑も並んでいた。

大聖寺を歩いて痛感したのは、かつての城下町の風情が残り、古い町並みが趣深い。そして外敵から守るために寺社を集めたらしく、とにかく歴史のある神社仏閣だらけ。今回は時間がなかったが、九谷焼も有名で美術館もあった。しかし連休にも関わらず町中閑散としていた。これだけ観光資源があるのに何とももったいないと思った。
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